学校支援サービス 公益社団法人子どもの発達科学研究所

Classroom practice “gemiwa”

いじめ予防ゲミワ「道徳(小学5年)」
実践例

カードゲームで児童生徒が主体的にいじめ予防を学ぶ「ゲミワ」。小学校の道徳授業での実践事例をご紹介します。

道徳授業の様子
実践例

静岡県森町立宮園小学校
(2~6年生の4クラスで実践)

カードと動画を使い、指導案に沿って授業を展開
子どもの発達科学研究所研究員、青山智士(元教員)による実践例

効果的ないじめの授業とは─。この難題に応えるのが、カードゲームを通して学ぶ「ゲミワ」です。「いじめはダメ」という理解だけでなく、「何が原因かな?」「どういう場面で気をつける?」など、子どもの思考に沿って紐解きます。
「ゲミワ」は、カードや動画、指導案などが揃っているため、授業準備は短時間でOK。道徳や特別活動、学級活動の授業ですぐに活用できます。元教員・青山智士研究員による公立小での実践例をご紹介します。

Development

授業展開

「全国でいじめは何件起きたでしょう?」現状の問いかけから、関心を引き出し「いじめ」の定義について理解します。

5年生では、「シンキングエラーカード」を実施。無自覚にいじめにつながるメカニズムについて、グループで考えます。

指導者:2024年の1年間で、全国小中高校で何件のいじめが起きたでしょう? 児童ら:5,000! 5万! 10万! 30万! 指導者:実は73万件です。全国でこんなにつらい思いをしている人がいます。
いじめってどんな行動だと思いますか。
児童ら:相手が嫌な気持ちになること、仲間はずれにすること(など口々に答える)

(動画を再生し、いじめ防止対策推進法と「いじめの定義」を説明)

いじめではないつもり─。研究結果に基づくいじめの構造と、身近に潜む「シンキングエラー」について学びます。

指導者:いじめに関する研究で、加害者の多くが自分の行動は「いじめではない」と思って過ごしているということが分かっています。遊びや冗談、注意のつもりがシンキングエラーになっている場合があります。

(めあて)

  1. どんなシンキングエラーがあるだろう
  2. どうしたら気づかせることができるだろう

(ケース動画で「シンキングエラー(間違った考え)」や被害者、加害者、傍観者について確認。その後、班ごとにシンキングエラーカードを配布し、カードの言葉を読み上げ内容を理解します)

加害者の立場になって考えることでいじめ予防に。
カードを使って具体的な事例について話し合います。

指導者:(カードを読み上げ)『自分にとっては楽しいことだからやってもいい』こういう誤った考えを何と言うでしょう。 児童ら:シンキングエラー! 指導者:(カードを読み上げ)『相手が嫌がっているように見えないからやってもいい』これについてどう思う? 児童A:被害者Aさんは嫌な顔を見せないからやってもいいや、と加害者Bさんは思っているけど、ずっと同じことを言っているからBさんのシンキングエラーだと思います。

(などのやり取り後、動画でシンキングエラーについて説明)

傍観者の立場になって声かけのアイデアを考える班活動。
仲間と意見を出し合うことでいじめ予防の意識を高めます。

指導者:傍観者CさんはBさんにどう声かけしてあげればよいでしょうか。ワークシートの吹き出しに、班ごとにいろんなアイデアを書いてください。(ワークシートを配布)

児童が書き出した一例:自分がされて嫌なことは相手にしないよ/それっていじめじゃない?Aさん嫌がってるよ/Aさんが悲しんでるからやめよう/BさんがAさんにやていることがどういうことか考えてほしい

指導者:はい、ここまでです。誰か感想を言ってくれますか。 児童:シンキングエラーは誰にでも起こり得ることだと知って驚きました。自分も周りにしないようにしたいです。

実践校での教員の感想

クラス担任:シンキングエラーは誰にでも起こるよ、という共感的な話し合いができました。仲がいいからこそ言い過ぎてしまう場面もあります。今回、みんな一緒に知ることで「これはシンキングエラーじゃない?」と言いやすい環境になったと思います。

校長:カードゲームをやると軽い感じになるかなと思っていたのですが、いじめについて子どもたちが真剣に向き合っている様子でした。「いじめはいけない」という建前は子どもたちもわかっているので、傍観者の視点を育てる良い機会になりました。

「シンキングエラー」 指導例 (小学校5年生 道徳科)【PDF】

上記のほか「クラスピ」「やはた行動」「学校風土向上カード」など、すべてのゲミワについて指導例を準備しています。
導入後、スムーズに授業で実践していただけます。